マーケティング力を高めるための必読書7冊

自社のサービスや商品を少しでも多くの顧客に利用・購入してもらい収益を上げるためには、しっかりとしたマーケティング戦略が不可欠です。とはいえ、適切なマーケティング戦略を立てて効果的に進めるためにはまずマーケティングそのものについて理解しておかなければいけません。マーケティング力を高めて収益に効率よくつなげていくために、マーケティングの基礎知識や手法・事例等を学べる書籍をご紹介します。

実践しながら読み進めるのがマーケティング力向上のコツ

マーケティングとは、一言で言うと『収益を上げ続ける仕組みづくり』のこと。顧客のニーズを分析し、その結果を見ながら自社のサービスや商品を適切な広告媒体によって周知させ、さらにファンとして利用し続けてもらうという仕組みをつくるための活動全般をさします。

つまり市場調査をして終わり、サイトのアクセス解析をして終わり、ではないということ。それらの活動から得たデータを営業や販売といった活動に生かし、収益につなげていかなければならないのです。

そのためにマーケティング戦略は机上だけのものにしないことが大切です。テストし続けながらより適した方法を見つけ、収益を上げていくのが理想的です。これからご紹介する7冊の本は充実した内容のものばかりですから、内容を参考にしながらぜひ実践していくことをおすすめします。

グロースハック 予算ゼロでビジネスを急成長させるエンジン


グロースハックとは、サービスや商品の成長をエンジニアの技術を用いて仕組み化していくという近年注目されているマーケティング手法のひとつです。従来のマーケティングのフレームワークとして多用されている「AIDMA」「AISAS」とは別に「AARRR」というフレームワークを基本概念として、5段階それぞれに有効なグロースハック施策の事例を紹介しています。

本書ではグロースハックは基本的にスタートアップ期のインターネットサービス企業に適したマーケティング戦略だとしていますが、コワーキングスペース運営業の「co-ba」などリアルビジネスを行う企業の事例もあり、業種に限らず実践できることが分かります。

また、スタートアップ期に限らず、広告予算を最小限にしてアイデア重視のマーケティング戦略を立て直したい企業にとっても参考になる内容が網羅されています

オウンドメディアで成功するための戦略的コンテンツマーケティング



なぜ有益なコンテンツを提供し続けることが収益アップにつながるのか、その成功事例が数多く紹介されています。説得力ある物語を伝えて「この会社のサービスや商品を通した魅力的な経験をしたい」という感情を顧客に起こさせること、これがコンテンツマーケティングの要だという視点は非常に参考になるでしょう。
有益なコンテンツを提供し続けることによって自社のサービスや商品への関心を起こさせ、購入してもらい自社の収益を高めていくマーケティング手法であるコンテンツマーケティング。

またどんな手法であっても、価値の高い顧客の保持に努めるためには長期的な展望でマーケティング投資を行う必要があるとよく理解できる一冊です

60分間・企業ダントツ化プロジェクト


経営コンサルタントではなく起業家が、大手企業ではなく中小規模の企業向けに、スピードを重視して書いたマーケティング本として広く読まれている一冊です。

タイトルにある60分間とは、優れたマーケティング戦略を思いつき構築していくのに長い時間は必要ないという著者の思いが詰まったキーワードのひとつ。効率よく短時間でマーケティング戦略を構築していくためには方法があるとして、サービスや商品・顧客・収益シミュレーション・顧客へのメッセージといったマーケティング戦略構築に不可欠な項目についての考え方と進め方が紹介されています。

提示されている各チャートを活用しながら実践していける、集中式マーケティング実践本と言えるでしょう。

バズ・マーケティング



クチコミを意味するマーケティング用語「バズ」に注目し、バズの持つ大きな影響力を利用したマーケティング戦略を提案する一冊です。

多額の広告予算を使った旧来のマーケティング戦略とは異なり、自社でバズを発生させることができるという視点から解説が進んでいくため、バズマーケティングに今後取り組みたいと考えている企業にとっては戦略立ての際に非常に活用できる内容でしょう。

アップルが成功した理由、ブリトニー・スピアーズが成功した理由など、読み手の興味を惹くバズマーケティングの成功事例が掲載されています。これ以外にも、著者が手掛けたたくさんの成功事例は、業種や商品の違いに関係なく参考になる一冊です。

いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本



より実務に役立つようにと図解してあるページが多く、マーケティング戦略初心者でも理解しやすい構成になっています。コンテンツマーケティングの基本書のようにも見えるタイトルですが、コンテンツマーケティングの考え方や特徴といった概要、顧客視点のマーケティング戦略の立て方、顧客の心に響くコンテンツ作成と発信の方法、そして発信後の効果測定など本格的で充実した内容が詰まっています。
コンテンツマーケティング講座の講師を務める著者が、リアルの講座さながらのレッスン形式でコンテンツマーケティングについて解説していきます。

コンテンツマーケティングを始めたい、今進めているコンテンツマーケティングを立て直したいと考えている企業のマーケティング担当者は必読です。

ストーリーとしての競争戦略



さまざまな業界のさまざまな企業の担当者からマーケティング戦略を聞いてアドバイスしてきた著者ならではの考察だけに読みごたえは十分。特にマーケティング戦略を考える上で「種類の違い」と「程度の違い」という2つに分類し、どちらの戦略方針を取るかでマーケティング戦略が大きく異なるというくだりは、マーケティング戦略を立てていく上でぜひ押さえておきたいポイントです。
2011年ビジネス書大賞にも選ばれたベストセラー。経営戦略の研究者としてビジネススクールの教壇に立つ著者が、マーケティング戦略の優劣の基準として掲げる「ストーリーを感じるか」という視点を軸にストーリーの必要性について詳細に説明しています。

「失敗を恐れるな」というメッセージにはすべてのマーケティング戦略担当者が勇気づけられるはず。

売れるもマーケ当たるもマーケ マーケティング22の法則


「22の法則を犯せば危険に見舞われることを覚悟した方がいい」という刺激的なイントロダクションから始まるこの本は、マーケティングを専門とするプロの間ではバイブルとも言われている良書です。

「最初に入るのは市場より顧客の心の中」「マーケティングの効果は長い時間を経てから現れる」「将来を予測することはできない」といったマーケティング戦略を立てる上で心に留めておきたいキーワードが随所にあり、必ず成功するマーケティング戦略の法則などないからこそアイデアと正しい方向への努力と時間が必要だと理解することができます。

マーケティング戦略に携わる人は戦略立ての前にぜひ読んでおきたい一冊です。

マーケティングを高める書籍まとめ

マーケティング戦略は実践ありきです。しかしやみくもに始めるのではなく、その名のとおり筋道がしっかりした戦略を立てていかなければ自社の収益増加にはつながりません。

今回ご紹介した7冊は、いずれもマーケティング戦略を進めていく上でのヒントがぎっしりつまっています。まずは気になった1冊を、読み終えてからではなく読み進めながら実践してみてはいかがでしょうか。

長菅 由美子
「マーケティング力を高めるための必読書7冊」2016-01-22更新、http://www.lancers.jp/sharebiz/968、2016-06-20引用