前回、アビスパ福岡は、スポンサー数No.1という話をしました。
しかし、（ご存知の方も多いと思いますが、）数年前には経営危機を迎えていました。その時、チーム存続の危機を救ったのが、熱心なファンの存在でした。
実は、このファンの存在というのは、マーケティング活動においても非常に重要なことなのです。

 

経営危機を支えたファンの行動とは

2013年９月、アビスパ福岡は、11月末には運営資金が不足してしまうという経営危機に陥りました。
アビスパ福岡は、小学生を公式戦に無料招待する名目で「アビスパKidsパートナー」という1口5,000円の協賛募集を開始。アビスパ福岡を潰してはいけないと、全国のファンから約2500万円分の募金が集まりました。
 
中には、1口5000円は高いということで、独自でシールなどのグッズを作成・販売し、全国のサッカーファンから100万円以上を集めて支援した例もありました。
 
その動きに触発され、福岡の老舗企業「明太子のふくや」も、アビスパ応援・うれしいギフトの販売、3時間で完売し追加販売する盛況ぶりで、総売上888万円（蜂にかける粋な計らい）をアビスパ福岡に寄付し、支援の輪が広がっていきました。
 
その結果、アビスパ福岡は経営危機を脱し、今に至ります。
これは、アビスパ福岡のファンが、経営危機を救ったともいえます。

 

ファンがいることが安定収入につながる

アビスパ福岡の例は、美談のようですが、本来はこのような自体に陥らないようチームを運営しなくてはいけません。そのためには、ファンの存在は必要不可欠なのです。
 
サッカーチームの収益は大きく「試合、広告、その他(ロイヤリティなど)」の３つの柱で構成されます。
試合というのは、チケット・グッズ販売で、毎試合多くの方が観戦すれば、その分多くの収入を得ることができます。なかでも、1年分のシートを事前に予約購入するシーズンシートの販売数が多ければ多いほど、入場料収入が確約されるので、安定した経営につながります。
世界一サポーターが多いと言われるドイツのドルトムント（日本代表香川選手が所属しているチーム）では、毎年8万人入るスタジアムの8割がシーズンシートで埋まるそうです。
 
当然、ファンが多くなりチームの人気が出てくれば、グッズの売上も伸びていきます。
FCバルセロナやレアル・マドリードなど世界的にファンを持つチームは、グッズの売上だけでも100億円を超えます。
 
そして、ファンが多いとそこに露出したい企業は増えてきますので、スポンサー数も増え、広告売上も増加していきます。
売上が増えていけば、選手に投資できる資金も増加し、さらにチームが強くすることができ、強くなったチームを応援したいと、さらにファンが集まるという好循環が生まれます。
 
このように、サッカーチームにおいて「ファン」の存在は格別であり、どのチームもファン作りに躍起になっています。


 

自社メディアでも重要なファンづくり

実は、ファンとはスポーツやアイドルだけの話ではありません。
任天堂、Apple、無印良品などなど、熱狂的な信者を持つサービスや会社は多くあります。
 
会社（サービス）であっても、ファンの存在は不可欠なのです。
 
ファンを作るために大事なこと。
それは、「顧客目線であること」
 
製品・サービスを提供していると、どうしても自分たち目線になりがちで、顧客目線で考えるのは難しいという声を聞きます。
 
しかし、顧客目線になる方法は非常に簡単で、自分たちが自社の製品のファンになればいいのです。
 
自分たちがほしいモノを作ることが、すなわち顧客がほしいモノとなる。
自分たちがおしゃれでかっこいいと思って作った製品であっても、使い勝手が悪い製品は、顧客目線で作られたとはいえません。
 
自社メディアも同じです。
「私すごいでしょ？」「こんなこともできるのよ」という自慢してくれる人の話聞きたいですか？
 
読者が読みたいものは何か、試行錯誤しながら丁寧に作っていくことで、必ずファンになってくれる方は増えていきます。
 
再来訪率が低いとお悩みの方は、一度読者の立場に立って記事を読んでみてはいかがでしょうか。
 
ファンと一緒に、自社メディアを育てていきましょう。