【博多にわか読書 Vol.2】 インターネットの次に来るもの

30年後って・・・
どんな世界になっとると?


今回の博多にわか読書の1冊はこちら。
日々、目の前の業務に忙殺され、中期的な目線を失っていることってありませんか?(私は多々あります。汗)
 
インターネットが誕生して約30年。
その間にWEBページの総数は60兆を超え、それは今生きている人1人につき約1万ページ分の量に相当するそうです。
 
この数十年の目まぐるしいテクノロジーの進化の先は、どんな未来がくるのでしょうか。
日々の目の前の忙しさから少し目を離して、広い視野で30年後のことを考えてみてみませんか?

ざっくりどんな本?

米国『WIRED』誌の創刊編集長であり、テクノロジー界の思想を牽引するケヴィン・ケリーが、12の切り口から30年後の人間とテクノロジーの未来がどうなっているのか?
人工知能、シェアリング、仮想現実、IoT、サブスクリプションなどまさに最近注目されているものがどのように発展をしていくのか、具体的な事例を交えながら説いていく本。
そして「2016年のいま」がITの参入障壁も低く、リスクと利得の格差や収益の高さや成長が見込めるチャンスであり「何かを始めるのは最高のタイミングである」と明言しています。
 
正直、翻訳本独特の言い回しのわかりづらさと読みにくさは否めませんが・・
将来の動向を捉えたい方、デジタル・テクノロジーの世界で新たなチャレンジをしたい方にはおすすめの一冊です。
 
 

今後、破壊的確信を起こしていく12のテクノロジートレンドとは

「近未来において私たちの生活に起こる多様な破壊的革新は、今現在あらわれているテクノロジーのトレンド(下記12の切り口)から必然的に導かれる」とこの本では説かれています。
 
■12の切り口とは
1.Becoming(なっていく)
2.Cognifynig(認知化していく)
3.Flowing(流れていく)
4.Screening(映しだしていく)
5.Accessing(アクセスしていく)
6.Sharing(シェアしていく)
7.Filtering(フィルターをかけていく)
8.Remixing(リミックスしていく)
9.Interacting(相互作用していく)
10.Tracking(追跡していく)
11.Questioning(問いかけていく)
12.Beginning(始まっていく)
 
今回はこの中で個人的に気になった、新しいAIと共に革新を起こす「Cognifynig(認知化していく)」切り口について触れていきます。
 
 

-Cognifynig(認知化していく)- コグニファイしたマーケティングとは?

 メディア運営者のモリグチとしては、デジタルマーケティングに関わる未来は気になるところ。

私達が現状クライアントに提供できるコンテンツマーケティングの「今」の世界でいうと、こんな感じでしょうか。

・ユーザーが読んだ記事、文脈をテキスト解析し趣味嗜好を把握できる
・時間帯、端末ごとにどんな記事を読みやすいかパーソナライズできる
・「この行動をした人はこんな傾向です」という行動・協調フィルタリングできる
・趣味嗜好、属性に応じて訴求する内容を最適化してアプローチできる



本書では、「あらゆるものごと×人工知能(AI)」との掛け合わせが描かれていますが、ソフトウェアにあたるニューラルネットワーク、ハードウェアにあたるGPU、それにビッグデータの3つが組み合わさり、新しいAIが登場することで発展していくと書かれています。

その発展系の一例としては、
コグニファイしたマーケティング
--個々の読者や視聴者が広告にどれだけ注目したかの総量を、その個人の社会的影響力(どれだけの人にフォローされ、その人たち自身がどれだけ影響力があるか)と掛け合わせ、1ドル当たりの注目度や影響力を最適化する。何百万人規模で行なわれるので、AIに適した仕事だ。

コグニファイした不動産
--「この物件を気に入った人はこういう物件にも興味があります」とAIによって表示して、売り手と買い手のマッチングをしてくれる。個人の実情に合わせて、融資計画なども提供してくれる。

より多くのデータやロジックから導くことで、レコメンド内容・マッチング精度があがるということですね。

婚活適齢期モリグチにとしては、自身のこれまでの経験、潜在的な趣味嗜好を独自ロジックで解析し、ビッグデータと組み合わせることでかつてない精度で男性とのマッチングが行われるサービスの実現も近いのではと想像しています。
一刻も早くその時代が到来することを切に願います。

 

 未来を予測することの難しさ

しかし正直なところ、インターネットが無い時代にスマートフォンがある世界なんて予測できませんよね・・?
筆者のケヴィン・ケリーも、未来に対しての予測がいかに難しいかを物語るエピソードがあります。

2002年頃にグーグルの社内パーティーに参加した筆者。
グーグルは当時、まだ広告オークションで実収入を生み出してもおらず、検索だけに特化した小さな会社だったそう。
 
そこでグーグルの聡明な創業者ラリー・ペイジと話した。
「ラリー、いまだによく分からないんだ。検索サービスの会社は山ほどあるよね。無料のウェブ検索サービスだって? どうしてそんな気になったんだい?」
そして彼はこう答えた。
「僕らが本当に作っているのは、AIなんだよ」
 
ここ数年、グーグルがAIやロボット企業を13社も買っているのを見て、一見すると、グーグルはその収入の80%を検索サービスから得ているので、検索機能の充実のためにAI企業の買収を強化しているように思われるかもしれない。
しかしこれは逆で、AIを使って検索機能を改良しているのではなく、検索機能を使ってAIを改良しているのだ。
あなたが毎回、検索語を入力し、その結果出てきたリンクをクジックしたり、リンクをウェブ上で新たに作ったりするのは、グーグルのAIのトレーニングをしていることになるのだ。

この事例からも分かるように、変化を予測することは難しいですよね。
しかし後悔しないために最新のテクノロジー動向をしっかりと理解し、自分のとるべき行動を考えたい。
そんな思いを持つ人にとって、本書は新たな知識や気づきを提供してくれるはずです。

 

あなたが今やってる仕事、30年後も残ってる?

よく聞くのが、ロボットに仕事を取られるという話。
既に工場を始めとして多くの場所でロボットが活躍していますが、今世紀が終わるまでにいま存在する職業の70%がオートメーションに置き換えられと言われています。
それは人工的な認知、安価なセンサー、機械学習、偏在するスマート機能を中心に既に代替えされつつある肉体労働だけでなく、知識労働まですべての仕事に及ぶとのこと。
                                
これを脅威と感じロボットに仕事を取られないよう競争するのではなく、これからはロボットと協調していかに働けるかが大事な時代になります。
 
  • すごいな、以前の仕事はロボットがやっているけど、僕の新しい仕事はもっと面白いし給料もいい!​
僕の仕事はロボットもコンピューターもできないなんて、すごくうれしい。
 
退屈で面倒な仕事はロボットに肩代わりしてもらって、私たちは人間らしい仕事に集中できるように。
私たちビジネスマンが今後目指していくべき世界は、こういう世界なんでしょうね。

 

おわりに

いま、世界では興味深いことが起きています。
世界最大のタクシー会社ウーバーは車を1台も持っていない。
Facebookは世界で最も人気のあるメディアの所有者だが、コンテンツは一つも作っていない。
アリババは最も市場価格の高い小売業だが、倉庫は持っていない。
Airbnbは世界最大の宿泊施設提供会社だが、不動産は持っていない。

ここ数年でも世界は予測できないような大きな変化が起きています。

反対に変わらないものって何なのでしょうか?
私個人としては、デジタル化が進化してもなくならないものは、アナログな人と人との人間関係、人との信頼関係ではないかと考えます。
 
そしてこの本では、本当に価値があるもの、唯一コストが増加しているものは、「人間の経験」と言われています。
 
動いて、足を運んで、人と会って、
自分の目で見る。聞く。感じる。考える。
失敗する。恥をかく。トライ&エラーを続けてつかむ。
 
数々の情報から成功への最短ルートを学ぶことができたり、人工知能がどれほど発達しようとも、経験だけはコピーできない、という言葉が胸に刺さります。
 
チャンスの大きい「2016年のいま」、あなたは何かチャレンジをはじめますか?
 
 

本日の素敵なブックカフェ

今回お邪魔したのは、天神イムズ4Fにあります​『solid&liquid』。
こちらは本屋さん、カフェ、雑貨がすべて一緒になったお店。 広々とした店内には独自にセレクトされた本が並び、購入前の本はカフェに持ち込んで読むことができるのです。(これは嬉しい!)



今日は店長さんオススメの一品、タマゴサンド「ニッポン」をオーダー。


「ニッポン」という名前の通りの和風サンドで、分厚いタマゴに海苔・生姜まで。
こんな和風サンドは珍しいと思いましたが、ボリュームもあるのでランチにもピッタリな一品です。
 
デザートも充実しており、オールドスタイルフレンチトーストやNYチーズケーキも美味しそうでした。

本屋さん併設のカフェで、気になる本を手に取ってゆっくり1人楽しむ時間っていいですよね。


 
solid and liquid TENJIN
福岡県福岡市中央区天神1-7-11
天神イムズ4F
TEL092-753-8135 OPEN 10:00~20:00
(※2016.10.14現在の情報)
 
モリグチ ヒロコ

今年、東京から10年ぶりに地元福岡へUターン。
最近の関心事は、福岡における結婚適齢期の女子あまり問題。