Webサイト制作・依頼を超効率化する要件シート

有名Web制作会社で働くWebディレクターが、10年間に培ったノウハウを公開! Webサイト制作・依頼をする際に使える、要件シートをまとめました。これさえあれば、Webサイト制作の効率化、間違いなし。外部パートナーに依頼する際も、このシートでまとめおけば、スムーズなやり取りが実現します。効率的なWebサイト制作にお役立てください
Webサイト制作・依頼をスムーズにする要件定義シート

「よく分からないけど、とりあえずWebサイトを作ってくれ」。こんな依頼も少なくありませんが、Webサイトというのは、ブログを更新するように簡単に作れるものではありません。
ところが発注側としては、Webについて詳しくなければ、どのように依頼するのがベストか分かりませんよね。「要件をまとめてくれ」と突き返されても、何をどのような形でまとめるのか、チンプンカンプン。
要件シートの項目ごとの大まかな流れ
プロジェクトについて
発注者が、何を目的としたどんなサイトを作るのかを確認する項目。
ディレクターや制作チームは、この項目をもとにして、担当する作業の範囲を明確にし、どんな人員配置、スケジュールで進めるかを決めていきます。
サイト構成について
サイトマップを作成します。作る予定のWebサイトには、どういう項目があって、どんなページがあって、どんなURLで、というのを定めます。
加えて、対象のサイト種別ごとに、対象OSと対象ブラウザを定めます。見落としがちですが、実はとても重要な部分です。Webサイトとひとくくりにしても、閲覧する環境は多種多様。
PCで見る人、スマホで見る人、フィーチャーフォン(ガラケー)で見る人。更には、PCでもOSが異なりますし、ブラウザも異なります。スマホであれば、iPhoneだけでも機種やOSのバージョンが違いますし、Android端末は無数に存在します。
すべての閲覧環境を網羅するのは難しいですが、最低限のカバー範囲は定義しておく必要があります。どうしてもすべての環境に対応したいという場合、(実際には不可能に近いのですが)それ相応のコストが必要です。
システム要件
目に見えるものや見えないものを含め、サイトにどんな「機能」を持たせるのかをここで明確に決めます。
「機能」とは、例えば、「投稿ボタン」や「シェアボタン」も機能ですし、サイトのページを表示させるのに何秒かかるか、というのも機能のひとつ。こういう部分を定義しておかないと、完成してみて想像と違ったことが起こる可能性があります。
技術要件
サイトの構築を実現させるために必要な環境を定めます。
実際にどのような開発言語を使い、どのようなソフトウェアを導入するのか可視化します。かなり専門領域に踏み込みますので、詳しくない人には分からないかもしれません。そんなときは素直に、制作側に相談してみましょう。
Webサイトで実現したいことをきちんと定義していれば、必要となる技術要件を導き出してくれるはずです。
インフラ要件
インフラ要件とは、インターネットのサービスの土台を構築するための要件を定めます。サーバーやプラン、ドメインなどについて、何を使うのかを決めます。ここで決めたサーバー上に、サイトのデータを入れていきます。
サーバーやドメインの取得は、発注側で行なうのか、そこまですべて依頼するのかも決めておきましょう。想定するアクセス数に応じて、契約するプランを変更することも必要です。こちらも専門領域となりますので、制作者にアドバイスを求めるほうが安心です。
セキュリティ要件
簡単に言うと、不正アクセスを防止するルールなどを決めましょう、という項目です。
不正アクセスを防ぐための武器と防具を決めるのです。防止策は数多くあり、理想は当然すべての対策を組み込むこと。ですが、対策を増やせば増やすほど費用がかかるため、どこまで対策するかは予算と相談です。
扱うデータによっても、『最低限』といえるセキュリティレベルは異なります。個人情報を扱うWebサイトを作成するのであれば、細心の注意を払うのがベストです。
品質要件
ここでは品質のチェック、つまり、作ったサイトに問題がないかを検証します。
検証する範囲や内容、環境を決め、その規定の品質をクリアしたら、完成品としてリリースできることになります。
納品後にクレームを起こさないように、きちんと定義しておくことをオススメします。また瑕疵担保責任についても、きちんと取り決めておきましょう。
リリース要件
サイト公開の手順を決める項目です。何月何日の何時に作業し、何時までに公開する、といったものを細かく決めておきます。
ここで決めたリリース期日から逆算して、Webサイトやシステムの構築、デザインの決定、機能の決定などを行ないます。直前になってリリース日時を変更しないよう、余裕をもったスケジュールを立てましょう。
運用・保守
いわゆるアフターサービスです。発注者がこれを依頼した場合、サイト公開後もWebサイト制作チームがメンテナンスや更新などを請け負います。
これを依頼しない場合は、サイトが公開されたら制作側の仕事はすべて完了となります。その後の不具合については、瑕疵担保責任の範囲や期日によって、対応が異なります。最悪の場合、どんなエラーが発生しても、修正は別途費用が発生する可能性があります。
SHAREBIZ 編集部 「Webサイト制作・依頼を超効率化する要件シート」2015-11-26更新、http://www.lancers.jp/sharebiz/275、2016-06-24 引用