コンテンツマーケティングには、明確な出口が必要

コンテンツマーケティングの素材として、コンテンツを作成する場合。中身を考えたり、文章のトーンをどうこうしたりは大事なのですが、それ以上に大切なことがあります。コンテンツマーケティングの肝となるのは……ゴールの設定にありました。
コンテンツマーケティングで見落としがちな、出口の設定
コンテンツマーケティングとは、見込み客が抱えている問題を解決に導いてあげるようなコンテンツを継続して提供するマーケティングプロセスです。そのプロセスの中で、問題解決に自社の製品やサービスが役に立つことに気づいてもらい、最終的に購買に結びつけることが目的となります。
しかし、多くの企業で実施しているコンテンツマーケティングでは、関連コンテンツをたくさん提供することが主目的となってしまって、肝心の問いに対する出口を示すことができていません。
この記事では、どのようにしたら見込み客に問題解決の出口を提供でき、出口の先にある自社の製品やサービスに誘導できるようになるかを解説します。
コンテンツマーケティング先進国のアメリカでも明確な出口が示せていない
コンテンツマーケティング先進国アメリカで行われた興味深い調査データがあります。「コンテンツマーケティングの戦略を明確にできていますか」という質問に答えた企業のうち、「明確にできていてドキュメントも完備している」と回答したのは3分の1ほどの32%。
最も多かった回答は「戦略はあるけどドキュメントがない」という企業で約半数の48%で16%の企業は「戦略もドキュメントもない」という回答でした
参考:What Effective B2B Content Marketing Looks Like
戦略がない、ドキュメントがないということは、担当者の間で「だいたいこんな感じの記事が欲しいよね」という暗黙の了解はあっても、コンテンツを提供した後のゴール、出口がない状態を指します。
コンテンツマーケティングの本格的導入が始まったばかりの日本では、この数字はさらによくないものであることが想像できます。
コンテンツありきではなく、ゴールありきが正しい

新しくコンテンツマーケティング実行責任者となったWeb担当者は、例外なくまず最初に自社サイトの記事コンテンツ量が貧弱なことに目が向いてしまいます。
「何もコンテンツがないところに検索エンジンのクローラーは来てくれないし、ましてやサイトにユーザーが来てくれるわけがない、一刻も早く自社サイトに関連するコンテンツを大量に準備しなければ!」と考えてしまうわけです。
確かに、何もないよりはあったほうが良いというのは間違いではありませんが、コンテンツマーケティングを成功に導くために大切な最初のステップは、適切なゴールの設定です。
適切なゴールがあればこそ、出口の先にある自社製品、自社サービスへと誘導が可能になるからです。
例えば、コンテンツマーケティングのゴールとしては下記のような出口戦略が考えられます。
■商品、サービス認知度、理解度の向上
⇒製品、サービス購買につなげる
■見込み客の獲得、リードナーチャリングの実施
⇒次の段階の営業アクションをしかける
■既存客のリピーター化
⇒前回の購買から間が開いていた顧客を掘り起こす
■ファン、オピニオンリーダーの育成
⇒インフルエンサーを養成してバイラルマーケティングをしかける
■コア顧客によるソーシャルメディアなどでのブランドイメージ拡散
⇒顧客を水平展開で拡大させる
など
どのゴールも出口に到達して終わりではなく、出口の先のアクションにつながっています。イメージ広告のように見た時インパクトは強くても時間の経過と主に急速に印象が薄れていく広告ではなく、出口に至る間に見込み客の知識や印象がポジティブに強化されて、出口で具体的な成果が出てくる。
これこそ、コンテンツマーケティングの目指すべき成功の形です。
出口到達の精度を高めるには最初のペルソナ設定が大切

出口のイメージが固まったら、次にコンテンツマーケティングで仕掛けるペルソナをはっきりさせます。
コンテンツマーケティングは、対象者に繰り返しコンテンツを提供して製品イメージを強くしたり、場合によってはそれまで持っていた考え方を変えてもらったりしていきます。そのため、最初にどんな人に訴えかけたいかは非常に大切です。
ペルソナを作るときは、社内の複数の人間でブレストなどをして徹底的にやることが大切です。「女性」「20代」「独身」などだけでなく、その人の会社での様子や考え方、休日の過ごし方などが分かるようなレベルにまで落とし込みましょう。
【ペルソナ作りで想像すべきこと】
■性別
■年齢
■出身地
■学歴
■既婚未婚
■会社での役職と役割
■仕事の概要
■仕事に対して持っているポリシー
■仕事に対する満足と不満
■上司や部下との関係はうまくいっているか、課題点はないか
■アフター5は何をしている?
■休日はどう過ごす?
■最近ハマっているものは?
■好きな芸能人/嫌いな芸能人
■好きなテレビ番組/嫌いなテレビ番組
■インターネットはどんな目的に使っている?
■よく読む雑誌やブログ、Webサイトは?
■よく使うソーシャルメディアは?
■スマホに入れているアプリは?
■最近読んだ本は?
■1年後、3年後、5年後、10年後どうなっている?
などについて、複数のタイプの人を作りあげましょう。ここまではっきりできたら初めて、ゴール設定に照らし合わせて具体的な記事の執筆にかかります。
公開した記事の効果を測定して課題を客観的に把握する

記事が公開されたら、それぞれの記事についてきちんとデータを取って効果を測定することが大切です。下記の項目につき、Google Analyticsなどを使ってデータを把握し、どんな傾向の記事が好まれているのか、客観的に把握します。
■PV数
■セッション数
■UU数
■回遊率
■SNSシェア数
■問い合わせ数
■エンゲージメント率
■リテンション率
■会員獲得数
指標の向上に貢献している記事について、内容をよく検討し改善点を新しい記事執筆にフィードバックしていきましょう。
記事の本数が集まることよりも、出口に向かってサイトに来てくれたユーザーの背中を押してくれる質の高い記事を継続して公開していくことが大切です。
以上、コンテンツマーケティングを成功させるために必要なゴール、出口への誘導方法と、その精度の高め方について解説しました。
コンテンツマーケティングの目的は、質の高いコンテンツを継続して提供することで、ユーザーの問題解決に自社の製品やサービスが役に立つことに気づいてもらい、最終的に購買に結びつけることです。そのためにはコンテンツの量産に走ることなく、ターゲットを明確にした上で出口を示してあげる明確な戦略が必須となります。
