即日配送アプリ「FASTMART」から次なるサービスへ。物流スタートアップのリアルと挑戦

スタートアップ支援事業に力を入れている創業特区・福岡市。私たちが知らないところで、数多くのスタートアップ企業が生まれています。本連載では、日々奮闘している「福岡発・スタートアップ」に注目して、彼らのサービスとともに今後の展望についてお聞きしていきます。今回は、食品・日用品の即日配送アプリ「FASTMRT(ファストマート)※」を運営・開発する株式会社 New Revo. 代表 長浜 佑樹氏にお話を伺いました。※2016年12月からサービスを停止中。
きっかけは「Uber」。物流スタートアップの立ち上げへ
--スタートアップに興味を持ったきっかけは何ですか?
大学時代に出会った先生の勧めでアメリカに行って「Uber」を知ったことがきっかけでした。当時はまだ日本進出しておらず、ただのタクシーだと思っていました。帰国後調べてみて、1つのスタートアップ企業が世界的サービスを生み出し、交通・物流業界を担っていることに衝撃を受けたんです。
--なぜ、物流業界でのチャレンジを決めたのですか?
アメリカで「Uber」を見て、自分もプレイヤーになりたいと思いました。もともと、交通や物流領域が好きで、学生時代に経験したアルバイトもドライバーや配達業など、交通・物流に関連するものが多かったので。やるなら物流系のスタートアップとして起業したいと考えたんです。
即日配送アプリ「FASTMART」で感じた物流業界のリアル

--株式会社New Revo.が手がけるサービスについて教えてください。
食品・日用品の即日配送アプリ「FASTMRT(ファストマート)」を運営・開発しています。気に入った商品を選んでカートに入れ、配送時間を指定すると、その時間に自宅まで配送するサービスです。配送は1日2回、19時か21時のどちらかを選ぶことができ、配送料は290円です。2016年秋にローンチしたサービスですが、同年12月にはサービスをストップしている状況です。
--なぜ、サービスを一旦ストップさせようと決めたのですか?
もともと、立ち上げ段階から地域密着型のサービスを構想していて、地元企業との協力体制や取り扱う商品まで準備はできたのですが、Amazonに勝てるような競争力がなかったことが大きな理由です。小売業と物流業、どちらもできると思って始めたものの、本当に困っている人の声を聞けていなかったことや、マーケティング力が無いということを痛感しました。
それと、僕自身の苦い経験と「FASTMART」の行く先が少しだけ被った気がして。もう2度と味わいたくないような苦しい経験です。そのときの感覚と似たものを感じてしまって。苦しい領域に進む前に、もっと業界の課題や携わっている方々に向き合おうと決めました。
物流業界への挑戦。失敗を糧に次なるサービスへ
--「FASTMART」での経験を踏まえて、今取り組んでいることについて教えてください。
「FASTMART」での失敗をきっかけに、1ヶ月ほど物流業界のことを深く調べ直した結果、「Fastmart」を立ち上げたときには気付くことができなかった業界の問題点や課題を見つけることができて。改めて物流業界に興味を持つことができました。現在は、スマホをハンディとして在庫管理できるサービス「Zaicos(仮)」の開発を行っています。
--物流系スタートアップとして挑戦を続けるのですね。
はい。今後も物流業界へプロダクトを発信していきます。やっぱり交通・物流が好きですし、私たちの生活に物流ってなくてはならないシステムなので。次のプロダクトの構想もあるので、EC事業をされている方で在庫管理に困っている方がいたらぜひ情報共有させていただきたいです。スタートアップらしく、従来の常識にとらわれず物流業界が少しでも変わるような挑戦をしていきます。