目指すのは最強の開発チーム--次世代型ドローン開発で狙う世界市場

スタートアップ支援事業に力を入れている創業特区・福岡市。私たちが知らないところで、数多くのスタートアップ企業が生まれています。本連載では、日々奮闘している「福岡発・スタートアップ」に注目して、彼らのサービスとともに今後の展望についてお聞きしていきます。今回は、最先端のドローン研究開発を行う日本コムクエスト・ベンチャーズ合同会社 代表 西島 銀次朗氏にお話を伺いました。

飛行時間は従来の約4倍。CQVが手掛ける次世代型ドローン


--御社が手掛けるドローン事業について教えてください。

次世代型ドローンの研究開発を行なっています。私たちが手掛けているのは、国内でよく見かける従来型のドローンではなく、無人航空機(UAV:Unmanned aerial vehicle)です。

具体的なサービスとしては、ドローン設計ソフトウェア、シュミレーターソフトウェアの開発です。それらのソフトウェアの信ぴょう性や、精度を確信してもらうためにハードウェア自体の制作も行っています。現在は、大手メーカーとパートナーシップを組んで、心臓部分である制御や、コアな開発サポートをするケースもあります。

--次世代型ドローンと従来型との違いは何ですか?

私たちが手掛ける次世代型ドローンは、垂直離着陸ができる飛行機型ドローンで、まだ世界にもあまり出回っていません。従来型のドローンの飛行時間は15分ほど。次世代型の場合は、羽根があることで消費電力を4分の1まで抑え、1時間飛行し続けることができます。また、飛行機型なのにホバリングという空中で停止する機能も備えているので、滑走路がいりません。
 

世界に通用するデザイニングツールの開発


--御社が開発するソフトウェアの特徴を教えてください。

私たちが開発した設計ソフトウェアは、無人航空機だけでなくさまざまな航空機の設計ができるもの。さらに、空力分析や空力計算ができるツール「エアロダイナミックアナルシス」というツールも開発しています。

実は、通常の航空会社やドローン設計の会社は、デザイニングソフトウェアを持っておらず、飛行実験や改良に多大な時間とコストがかかるのですが、私たちのツールを使えば、設計スケジュールの短縮と億単位でのコスト削減が実現することができます。

それと、ドローンパイロット向けのフライトシュミレーターを飛行リハーサルソフトとして提供しています。空撮案件や需要が高まる中、撮影カットや角度、高度をあらかじめ想定することが可能です。

--捉えているのは国内市場ではなくグローバル市場ですか?

そうです。国内ドローン市場は2020年に1,000億円市場と言われていますが、世界市場の場合、2兆円を超える見込みです。その展望もあって、Juanを中心とする開発メンバーはアメリカが拠点です。

ただ、国内での活動も重要だと考えています。福岡市IoTプロジェクトでは、ドローンを活用した災害対策ツールを提案し、採択決定されました。総務省IoT救急医療プロジェクトにも参加しています。
 

最強の開発チームで福岡からグローバルへ


--会社を立ち上げた経緯について教えてください。

メンバーとの出会いがきっかけですね。共同代表であるJoseとは、彼が九州大学博士号を取る過程で福岡で出会い、彼の弟のJuanを紹介してくれたんです。2人の出身はプエルトリコ、Juanは航空宇宙工学専門で元々NASAにいて、出会った時にはすでに機体やソフトウェアの開発を行っていました。

彼ら2人はビジネスが得意なタイプではなかったので、ビジネス・オペレーションを私が担当し、システムとソフトウエア開発、ハードウエアの設計を彼らが担当しています。

--スタートアップとして、福岡に拠点を置くことにメリットを感じる点はありますか?

すごくありますね。福岡市を通じて、海外プロジェクトやスタートアップイベントに参加できたり、プレゼンテーションの機会もいただいています。

--今後の展望について教えてください。

まずは、確固たるソフトウェアを開発して強いチームを作りたいです。ドローンのデザイニングソフトや制御ソフトといえば、弊社が必ず介入しているといった風に、どこの開発チームにも負けない最強チームを作ることがファーストステップですね。

 
日本コムクエスト・ベンチャーズ合同会社:http://www.comquestventures.com/
企画:F Ventures
主催:福岡スタートアップ・サポーターズ協議会
   (事務局:福岡市経済観光文化局創業・大学連携課)
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