「ハンドクラウド」が導く、未来のワークスタイルとは?

スタートアップ支援事業に力を入れている創業特区・福岡市。私たちが知らないところで、数多くのスタートアップ企業が生まれています。本連載では、日々奮闘している「福岡発・スタートアップ」に注目して、彼らのサービスとともに今後の展望についてお聞きしていきます。今回は、働くを「もっと」楽しくするクラウドソーシングサービス、「ハンドクラウド」の開発・提供をしている株式会社リフラックス 代表取締役 濱田 憲一氏にお話をうかがいました。

「働き方」をより楽しいものへと変化させるサービス「ハンドクラウド」

 
--「ハンドクラウド」のサービス内容を教えてください。

 リフラックスでは業務システムやアプリの制作と自社開発システム「ハンドクラウド」のサービス提供、2つの事業を展開しています。メインサービスである「ハンドクラウド」は、今後どんどん進化していく「働きかた」に注目したサービスで、当社のテーマである「働き方をもっと楽しくすること」「自由な働きかたをすること」を実現するためのサービスです。
 
サービスの仕組みは少し特徴的で、クライアントとシステム開発者の間に「エージェント」というディレクター業務を行うポジションを設け、「エージェント」がクライアントのシステムの希望をヒアリングし、通訳のような形で開発者へ詳細を共有します。通常このような仕組みにすると、「エージェント」の費用がかかりますが、システム開発に中国やベトナムなど海外のエンジニアをアサインすることで、コストの軽減も実現。この仕組みが「ハンドクラウド」の強みです。

 

サービスのキーワードは、「エージェント」と「プロフェッショナル」の役割



 
--「ハンドクラウド」を立ち上げたきっかけは何ですか?

 起業する前に勤めていたコンサルタント会社で、クライアントである地元小売店の業務内容の可視化や効率化をはかるコンサル業務に携わっていました。コンサル業務と一言で言っても、クライアントによって関わり方や自分の動き方は様々。案件ごとに自分の肩書きが変わるのをみて、これからはそれぞれの得意な分野で足りないスキルを補い合う働き方が主流になるのではないかと感じたのがきっかけです。
 
今後コンピューターや人工知能が仕事の一部を担うことになると思いますが、「相手が何を考えているのか」、「どういうことをしたいのか」ということを先読みする技術の実現はまだまだ時間がかかると思っています。そういった人間にしかできない領域の仕事を切り出して、サービスに関わる「プロフェッショナル」を確立し増やしていくことで、働き方はより楽しいものになるんじゃないかなと考えています。このサービスの鍵は、「エージェント」が仕事を分解して、それぞれの「プロフェッショナル」と呼ばれる人たちに、自分の専門分野だけに専念してもらえる環境を作ること。「働くをもっと楽しくする」ことに繋がっていく仕組みを作りたいと思いました。

 

様々なクライアントの抱える問題を、可視化してスムーズに管理する



--「ハンドクラウド」のサービスの仕組みを教えてください。

 実際にどのような流れになっているかというと、1つの案件に対して「誰が」「どこを」「どのように」進めるのかというところを精査して、仕事を作っていきます。ヒアリング→企画書作成→デザイン→プログラミング→テスト→納品という流れがあったときに、「誰が」「いつまでにするのか」をPCやスマホ上で可視化するというツールです。「ハンドクラウド」を使用することで、より安く・早く・良いものを作ってクライアントに喜んでいただくという仕組みです。
 
またクライアントに合わせた工程管理もできます。例えば建築業界のクライアントの場合、通常だとゼネコンに依頼して、下請けから下請けへという流れでしたが、「ハンドクラウド」を利用すれば、家を建てる手順を列挙して、「この工程はどこの業者に発注するのか」「足場はどの業者に発注するのか」という工程ごとのコンペを自分たちで作ることが可能です。
 
他にも保育園のシフト管理を「見える化」するツールや薬局の基幹システム、レンタカーのクラウドサービスシステムなど、様々な業界とプロジェクトを進めてきました。こういったシステムの開発も、エージェントがつかないとできない案件で、リモートでやるのではなく、エージェントとクライアント先に出向いてはなしをすることでスムーズに進行できます。現在は契約している約30名のエージェントが活躍中しています。

 

クラウドソーシングを「ドラクエ化」して、世界中の人を幸せにするツールに




--「ハンドクラウド」が秘めるさらなる可能性とは?

 2017年の4月に「ハンドクラウド」の前段にあたる新たなサービス「ワーククエスト(仮)」をリリースすることになりました。このサービスのテーマは、「ドラクエ」。ゲームって強制的ではなくみなさん自発的に始めてハマるじゃないですか。その「ハマる要素」って必ずあると思っていて、ハイスコアを出してみんなに注目されるとか、敵を倒すためにレベルアップをするのがおもしろいとか。「ゲーミフィケーション」的な要素を仕事に取り入れて「仕事をドラクエ化しよう!」というヒラメキから生まれました。王様から依頼を受けて敵を倒すと、さらなる敵が現れて…それの繰り返しで最後に魔王を倒すミッションに向けてレベルアップしていく過程には必ずストーリーがあると思うんですよ。
 
例えば、TV番組を作る仕事に携わりたいという人に対して、制作会社が用意するミッションをクリアしていくことで、報酬を受け取ったり、スキルを取得したり、経験値がアップしたりと、インターンに近い形で、自分のやりたいことを楽しみながら享受します。一人ではなくチームでチャレンジできるようになっていて、チームリーダーには経験のある人が責任者としてアサインされていて、その人の下にメンバーという形で参加していくスタイルのサービスです。

「なりたい自分」と「やりたい仕事」を通してストーリーを作り上げていくような、そういうスキームを世界中の人と共有していけるといいなと思っています。
 

--今後の展望を教えてください。

ワーククエスト(仮)」は、「なりたい自分」と「やりたい仕事」を通して経験を重ねていくことを大切にしていますが、ただの遊びにならないように、しっかりとプロジェクトとして受注できるような仕組みにしていきたいですね。サービス開始後1年半以内に、ユーザー数を1万ユーザーまで増やすことが目標です。そして今後は「なりたい自分」になれた人のストーリーをメディアで情報発信して、そこからユーザーになってもらえるような展開も考えています。
 
いろいろな企業からプロジェクト形式でお題が出される仕組みになっているので、プロジェクトを受注する際には「ハンドクラウド」を使って進行管理や情報共有しながら進めていって欲しいなと思っています。世界中の人が幸せに仕事ができるクラウドソーシングを作っていきたいですね。

 
株式会社Reflux:http://reflux.jp
Hand Crowd:http://reflux.jp/handcrowd/
企画:F Ventures( https://f-ventures.vc/
主催:福岡スタートアップ・サポーターズ協議会
   (事務局:福岡市経済観光文化局創業・大学連携課)
 
 
 
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