街の”魅力”に会いに行く。デザイン起業家がつくるピープルリスト「Bluebook」
スタートアップ支援事業に力を入れている創業特区・福岡市。私たちが知らないところで、数多くのスタートアップ企業が生まれています。本連載では、日々奮闘している「福岡発・スタートアップ」に注目して、彼らのサービスとともに今後の展望についてお聞きしていきます。今回は、街のピープルリスト「Bluebook(ブルーブック)」を開発中の Weekend株式会社 代表 増崎 慶太氏にお話を伺いました。
「Bluebook」で好奇心をコミュニケーションに
--「Bluebook」とはどういったサービスでしょうか?
「Bluebook」とは日本語で「紳士録」という意味で、街の魅力をつくりだしている人たちの実名と位置情報がわかるオンラインブックです。謂わば、「Yelp」の人版であり、街の芸能事務所ですね。「Yelp」はさまざまなローカルビジネスの情報をレビューベースで見ることができるのに対して、「Bluebook」は人単位でローカルに住む魅力ある人や、自分の知りたい情報に詳しい地元のキーパーソンを位置情報付きで把握することができます。現在、β版のテストユーザーを募集しています。
--具体的には、どうやってコミュニケーションを取るのですか?
知らない街でキーパーソンと出会うためのピープルリスト
アイディアが生まれたのは2015年の年末ですね。ユーザーリサーチも兼ねてオランダやアメリカ西海岸など様々な場所に行った時に感じたのは、人ベースの情報がほとんどないことでした。スタートアップ界隈のことやユーザーニーズがあるかなど、知りたいことは山積みなのに、誰がキーパーソンなのか、どこにいるのかがわからなかったんです。
一方、ローカルに住む人で表には出ていないけど、こんなことをやってるんだって伝えたい人もたくさんいるはずで。そんな人たちが声を挙げ、知ってもらえるようなプラットフォームをつくりたかったんです。ただ出会うだけが目的ではなく、自分らしく生きていきながら、仕事をしていくための土台として提供しようと考えました。
デザイン起業家として創造する新しい価値。ローカルでの出会いを意識的に
ーー「Bluebook」で初めて行く街の楽しみ方が変わりますね。
実際に住んでみると何となくぼんやり見えてくるけれども、知らない街に行った時って目隠し状態で。ガイドブックを頼りに旅行したとして、偶然出会ったローカルな人とのコミュニケーションって記憶に残りませんか?旅から帰ってきたときにふと面白かったな、って思い出になってるんですよね。この体験をもっと意識的に創造できれば、知らない街に行く楽しみと思い出を量産できると思うんです。
ーーなぜ「デザイン起業家」?
もっと自由なスタイルで。「Bluebook」が届けたい物語

--まずは、福岡からということですが、国内・海外展開はお考えですか?
グローバル展開は考えていますが、東京を始めとするメガシティでの展開は考えていません。理由は新しい価値観と物語のあるものを提供したいからです。僕自身、関東に10年住んでいましたが、無理して生活している人が本当に多い。1日に2回は電車が止まるんですよ。21世紀ってもっと違う価値観が求められている気がしていて。もっと、自分なりのスタイルで、自分のペースで生きていけるようになるはず。そうすると、東京という都市以外の選択肢を選ぶ人も増えると思うんです。
国内なら福岡、国外ならアムステルダムやポートランド(+といった豊かなライフスタイルを持ったほど良いサイズの都市)が21世紀の中心都市になると思っているので、僕は福岡でスタートアップをやると決めました。東京や県外の方が福岡に来た時に「Bluebook」に触れて、「こういう生き方があるんだな、もっともっと自由なんだな」「面白い街には『Bluebook』があるんだな」って思ってもらいたくて。
その先に、実際に自分のスタイルで生きている人たちがソシオやコミュニティを形成しながら、経済を回して生きている社会を見せてあげたいです。
ーー「Bluebook」の今後の展望について教えてください。
まずは、20〜30人くらいの店主の方々からスタートをしていく予定です。魅力を見つけることはもちろんですが、人と人との繋がりを補完できるサービスとして活用していただきたいですね。
例えば「Facebook」が自分を中心として既に繋がっている人と密にコミュニケーションをとることができるのに対して、「Bluebook」はまだ出会っていない知らない人にリーチすることができるので。見たことがない価値や生き方に触れることができるサービスとして、最終的には街に住む「人」のインフラとして構築していきたいですね。