マーケティング効果を高めるアウトソーシングの実現へ-QUANT株式会社 足立社長インタビュー

きっかけはコンテンツ&クリエイターマネージメントシステム「Quant(クオント)」
--QUANT株式会社設立の経緯について教えてください。
近年、オンラインワークに携わる人の数が増え、クラウドソーシングをアウトソーシングの1形態として導入することがトレンド化していました。1対1のマッチングではなく、一定業務のアウトソーシングとなるとランサーズのプラットフォームだけではまかないきれないので、「Lancers for Business」という新規事業を立ち上げたのが約3年前ですね。
当時、クラウドソーシング需要が高まる反面、クオリティが安定しないことがクラウドソーシングの大きな欠点でもありました。私たち自身、その欠点を真摯に受け止め、クリエイターと成果物、その成果物に接触するユーザーパフォーマンスを一元管理・可視化するツールをリリースしたところ、大きな反響がありまして。それが、2016年にリリースしたコンテンツ&クリエイターマネージメントシステム「Quant(クオント)」というサービスでした。

リリース以降、多くの引き合いがあったことで、市場ニーズには確かな自信がありました。従来の広告活動が効果を発揮しづらい中、プライベートDMP(※1)やマーケティングオートメーション(※2)の導入ブームが到来し、今後より複雑なテクノロジーを取り入れる際に「どこから手をつければ良いのかわからない」という企業のご担当者様が非常に多くいらっしゃいました。そういった背景から、2017年4月3日、ランサーズ株式会社のマーケティング支援事業「Lancers for Business」を事業承継し、QUANT株式会社を新設しました。
※1:クラウド型のデータプラットフォームに加え、企業独自の購買情報やWebアクセスデータ等、企業内部データと外部データを組み合わせて分析し活用するプラットフォームのこと。
※2:リード(=見込客)の獲得から営業活動に至るまでのマーケティング業務を、自動・最適化するために用いられるツールのこと。
フリーランスリソースと独自のマーケティングテクノロジーを活用

--ランサーズから事業の一部を継承する形での設立ですが、双方の役割について教えてください。
両者の役割分担を考えると、ランサーズはご登録いただいているワーカーの皆様に仕事を提供すること、クオントはそのプラットフォームを活用しながら、企業にしっかりとバリューを提供していくことがメインですね。
クラウドソーシングの流動性やボリュームといったメリットを活かしつつ、マーケティング効果に寄与するクオリティを維持することで、企業のマーケティング目標を達成する--これが私たちクオントの役割だと考えています。具体的には、ランサーズプラットフォーム内のフリーランスリソースを提供しながら、独自のマーケティングテクノロジーの活用によって専門業務を支援していくことが目的です。
「Quant」をリリースして以来、現在では、約3,000名のライターと1,100万本以上のコンテンツ、約2.5億件の読者データベースを所有しています。これらを分析し、クライアントのビジネスにマッチするライターをアサインし続けることで、パフォーマンスの向上を実現することが可能です。
低額出稿ニーズを実現する「Qソリューション リスティングオートメーション」

--現在提供されているリスティングオートメーションサービスについて教えてください。
この度、リスティング広告の出稿管理を自動化する「Qソリューション リスティングオートメーション」を開発しました。また、日本最大のEC自動化プラットフォーム「ネクストエンジン」を提供するHamee株式会社との業務提携により、「ネクストエンジンADS」を提供いたします。今回の業務提携によって、低額出稿ニーズを抱える中小企業の皆様へのマーケティング支援が実現すると考えています。
--このサービスの1番のメリットは何でしょうか?
EC事業者様の場合、特に限られた予算の中で費用対効果の高い取り組みを試行錯誤する必要がありますよね。リスティング広告の場合、一定量の予算がなければ代理店担当者はつきません。
そこで、私たちのサービスでは、GoogleのAPIを活用したアルゴリズムとクラウドソーシングを組み合わせることで低額予算であっても運用可能なソリューションを開発しました。毎月5〜20万円の予算でのプロモーションでも、システムと流動リソースを活用すれば、小さなロットの案件でも利用できるリスティングオートメーションサービスとして提供しています
--リスティング領域における事業目標があれば教えてください。
リスティングオートメーションに関して言えば、リリース後、九州のお客様からのお問い合わせを多くいただいている状況です。さすが通販王国だな、と感じました。同時に、低額出稿における悩みを抱えた事業者の方が多くいらっしゃることも事実です。
現在、九州のお客様へのアプローチの一環として、株式会社西日本新聞メディアラボとも業務提携を予定しています。WEBプロモーションに課題を抱えている九州の事業者様へ、弊社のリスティングオートメーションサービスを活用していただきたいです。