福岡で成果を出すマーケティング思考のススメ ーアンダス株式会社前田社長
WEBマーケティング業界では数少ない、真の「ワンストップソリューション」を提供しているアンダス株式会社。福岡内外の企業へ、Webコンサルティングを中心にWeb制作や自社ツールを提供しながらマーケティング課題の解決を支援。並行して、地場のクリエイターの発展に向けた活動も行う福岡の代表的Webマーケティング会社です。代表の前田哲郎氏にその設立経緯と、会社への想い、そして福岡や経営者に求められていることについてお話を伺いました。
アンダスはマーケティングカンパニー
もともと起業したいという想いがあったわけではなく、所属した会社にやりたいことをやれる環境があれば良かったんです。前職はホームページを制作するWeb制作会社に勤めていて、納品のときに「ありがとう」と言われるものの、2、3ヶ月すると「アクセスがない」「問い合わせがない」と電話がかかってきまして。本当に求めていることはホームページがあることではなくて、そういうところなんだと。それに応えるためにはどうしたらいいのか?と考えた時に、初めてマーケティングというものに辿り着きました。
前職以前はバリバリの営業畑でしたが、マーケティングを学んだときに気づいたことは、企業にとってマーケティングとは営業活動そのものだなということ。どんな会社でも「売りたい商品・サービス」に対してそれを「買って欲しいユーザー」がいる。”直接売る" のか、"クリエイティブを使って売る" のかの手法の違いだけで、どちらもそれを結びつけていく手法のことですよね。それがすごく面白いなと感じました。
プロモーション(広告)から制作、そしてCRMまで一社で行うことの重要性を感じ、その工程がWeb上で完結する通販に面白みを見いだし、Webマーケティングを中心に学びを深めました。そして、単なる情報発信のホームページ制作ではなく、マーケティング戦略をまず立て、戦略上どういうページが必要かというところから考えるWebサイト制作をはじめたのです。
取引先は地方の零細企業が中心でしたが、すぐに結果に結びつき、福岡外からも問い合わせがくるような成功事例が次々に生まれました。面白かったですし、なにより感謝されました。「いらない」というお客さまに売り込みをしてお金をいただいていたのに、お客さまからお金をいただいた上で「本当にありがとう」と感謝されるようになったんです。それが何よりも嬉しかったですね。
マーケティング戦略に基づいたWeb制作をするにつれて、プロモーション(広告)、制作、システムも全部一社で取り仕切れる会社じゃないと本当の意味で成果を出せないと確信し、独立しました。内製だけで完結できる「ワンストップソリューション」を提供している会社は、独立して13年経った今でもあまりないと思います。これがずっと大切にしているアンダスのスタイルです。今後、社会や生活全体が総デジタル化していきますが、マーケティングが根底にあることには変わりありません。そして、マーケティングの主戦場は、結局はデジタルになっていく。だからこそ、「アンダスはなんの会社ですか?」の問いには、マーケティングカンパニーと答えています。
成果を出す上で大切だと考えていること
ありがたいことに、多くのオファーをいただく中で、私たちが大切にしていることがあります。一番はクライアントの事業にかける想いと、それを形にした商品・サービスですね。本当に良い商品かどうか。何が良い商品かというのは、その商品についてどれだけ語れるか・・・開発者の想い、独自性があるのか、健康食品や美容商品でいえば成分や原料とその効果効能などといった部分ですね。さらに、ターゲットを考えることがマーケティング戦略上必要です。商品を買って欲しい人はどのようなユーザーで、そのユーザーにどのような価値を提供できるのか。これらがないと、クリエイティブで表現する際に、訴求をつくることができなくなります。「御社の商品は競合他社と比べてどんなところが強みですか?」と聞いた時に「あんまりないですね」と答えられたり、一番のセールスポイントについてあやふやだったりすることがあると、スタートラインにも立てないですよね。
実際、誰に売りたいのか、誰に使って欲しいのかが明確じゃないケースもあります。その商品は誰が買ってくれるのか考えられていない会社も多いです。買ってくれれば誰でもいい、と思っていたりするんです。一番使って欲しいのは誰か、誰の問題解決をしたいのか。ここが明確になっていないと戦略が立てられないですよね。仮にプロダクトアウトで作った商品だったとしてもそれは同じです。
加えて体制です。最終的に動くのは人。専任のマーケティング担当者がいるかどうか、ここはとても重要です。担当者の知識、質によって事業スピードが明確に変わります。事業責任者にマーケティング思考やその理解があることがもちろん前提にはなります。
CMO不在と言われている日本企業、まさにここが課題
13年間の企業支援で、様々な課題が見えてきました。その中でも、私僕が感じた一番の課題は「CMO(最高マーケティング責任者)不在」と言われるように、経営者や事業責任者がもつべきマーケティング思考が不足していることですね。経営者でもがCMOもしくはそれに準じる人材を必要と考えていないため、旧態依然とした今までの売り方、卸し、マスでの展開や人海戦術で営業活動を続けられていることがも多いためです。
必要性を理解されていてもマーケッターの定義がないので、誰を採用したらよいのか?どのように教育したらよいのか?がわからない企業がほとんどだと思います。マーケッターを育成する恒常的な教育機関はなかなか見当たらないのが現状です。
そこでクリエイティブセンター福岡(株)(以下 CCF)を立ち上げ、マーケティングに必要な人材育成を目的した教育事業を行なっています。企業の中の人に対してマーケッターとして育つための場を提供することが一番の近道ですが、まずは、フリーランサーをネットワークし、クライアント(案件)とクリエイター(スキル)のマッチングをするところから始めました。ただマッチングをするだけではなく、CCFがディレクションを行う形をとり、600人以上のフリーランスのクリエイターネットワークを構築しています。これは「クリエイターの人口を増やし、クオリティを高め、クリエーターの労働環境を良くしたい」という思いで取り組んでいます。クリエイターのクオリティを上げ、労働環境を向上させる。そしてクリエイター自体の価値を上げることで、クリエイティブに取り組む人口の増加をサポートしていければと思っています。直近では、人材派遣の免許もとり、キャリア相談なども行っています。
同時にイベント事業も始めました。昨年「デジタル神無月」というイベントをローンチし、マーケティングやクリエイティブの現場や管理職の方々に向けて、知識やスキルを向上してもらうきっかけとしての場を提供しました。今後はクリエイティブアワードなど、スタイリッシュでかっこいい、みんなが目指したいと思うものを作り、広げていきたいと思っています。
ますます重要になるマーケティングの形
会社を創業した時から思っていましたが、インターネットには情報が溢れているので、検索結果が表示されたときにどの情報を取捨選択するかという「目」が必要になります。そのため、ユーザーは根拠や裏付け、誰が言っている情報なのかということに自ずと向いてきています。これは加速度的に増すと考えています。実際に、広告が見られなくなりつつあることにも表れていますが、企業としては「信ぴょう性のある情報」を多く発信できる力や、ユーザーインサイトを踏まえた情報を作っていく力が求められると考えています。コンテンツマーケティングをする上でもここが非常に大切でしょう。
今まで自分たちが特に注力してきたダイレクトマーケティングで見てみても同じことが言えます。よくある話として「2番手商品が育たない」という課題があります。なぜかというと、商品名はわかっても会社名を知らないというユーザーが多いんですよね。商品ありきでプロモーションをして、ユーザーはその商品や商品の持つ機能から入ってきている。会社名とのつながりがなく、ブランドの認識をしていないユーザーがほとんどなんです。だから2番手を出しても、それは売れないんですよね。対して2番手・3番手が売れていく企業、例えばサントリーさんやジャパネットさんなどで購入する人は、その企業の商品だから買っているという人が多いですよね。だからこそ、ブランドコンセプトの理解・共感を入り口としたマーケティングをやっていかなければいけない。共感したブランドが薦める商品なら買うという流れが理想ですよね。
福岡でアンダスが体現していきたいこと
僕にはもうひとつ、地方創生に貢献したいという想いがあります。自治体が破綻したり、消滅する可能性もあるという話が言われていますが、僕は田舎を残したいという想いがあって、一番大事なのはは経済、その地域にお金が落ちるということだと考えています。それは何かというと、地方で納税できる会社をどれだけ作っていくかということだと思っています。そこで大切なのは(その地域以外からの)外貨を稼いでくること。それができる地方の企業が現状なかなかいないのが問題だと思っています。さらに、その地で雇用を生むということも重要です。だからアンダスは拠点が福岡であることにこだわっているんですよね。もちろん同じ場所でみんなで一緒にやりたいという想いや、福岡が好きだという大前提もありますが。「福岡発グローバル」こういう企業が育っていかないと地方創生はないと思っているからこそ、アンダスを通じてその想いを体現していきたいですね。福岡においてスタートアップが増えているのは素晴らしいことですが、それだけでなくそこからいかにメガベンチャーを作っていくかが大事だと思っています。
また、(これまでの経験を元に)あるべきダイレクトマーケティングのマーケティング戦略、つまりブランドコンセプトの理解・共感を軸としたダイレクトマーケティングをつかった地方創生もやりたいと考えていて、地方の隠れた農産品を発掘しながらEコマースで販売していくなんてことも計画しています。
[取材協力]
アンダス株式会社(http://www.andus.co.jp)
クリエイティブセンター福岡株式会社(https://ccf.jp.net)